《MUMEI》
独りぼっちで
“ぁぁ。──ところでだが”

「?」

“まだ願いは決まらんのか?”

「ぁ‥‥‥うん‥ごめん」





願い事──

まだ思い付かないんだよね‥。





「ねぇ、何でもいいの?」

“当たり前だろう? 私に叶えられぬ事などないのだ”





自信満々に、

しずくは答えた。





“にしても今日は暗い日だな──”

「雨、嫌い?」

“そうではないが──”

「?」

“ずっと暗い中にいたものでな、何だか好かんのだ”

「ぁ‥‥‥」





そうか‥。





しずくはずっと‥

暗い天井裏にいたんだ。





独りぼっちで──。

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