《MUMEI》 そうしてしばらく3人で他愛もない世間話をしていると、面会時間が終了。2人は、また明日、と帰っていった。 「ふぅ…。」 先生…どうしてるかな。手とか大丈夫なのかな…。 もう会うことはないとわかっていても、優しい陸は彼の心配をしてしまう。 「きっとあのときの声の人だ。あの人が操ってたんだ…。」 【操る】Verbとかかな?そんなことを考えながら、命が助かった喜びと先生を失った悲しみに、それら2つが織り混ざったような複雑な気持ちを抱えながら、眠りに就く陸であっ… 「陸!着替え持ってきたよ!」 …たはずなのに。休ませてもらえないのかなぁ…ボク。 「わざわざこうして母親が看病しにきてやったのになんなのそれは。」 あ〜…忘れてた。この人も使えるんだ…読心術。 …あ、久しぶりの登場でわからない人もいるかもしれないから一応言っとくね。今来たのはウチの魔お…いや母親。ちなみに、名前は『加東 詠子(カトウ エイコ)』と魔王には似合わな…ハッ!?いや、とても可愛らしい名前だ!ぁ! 「よろしい。はい、これ着替えね。あと暇だろうと思ってこれ買ってきたわ♪」 あ、危なかったぁ…。ちなみにこれ…なんだ?茶色い袋…少し厚みを感じる。形からして… 「本?マンガとか?ありがとう!」 「どういたしまして〜♪」 …なんだろ、あの母さんのニヤついた顔。怪しい、怪しすぎる… 「まぁ、とにかく開けてみなさい?」 そうだな、とりあえず開けてみないと。なんの本だろ…ゲッ!? 「ピッタリでしょ?この本のタイトルが気に入ったのよ〜♪… …『一週間でできる!高校の弱点克服講座5教科7科目別対策テキスト』。」 さ、最悪だぁ…!! 「1週間でできるのがいいわよねぇ♪」 なに言ってんの!?これパッと見200ページくらいあるような気するんだけど!?まるでちょっと大きなサイズの国語辞典みたいな… 「どうせヒマなんでしょ?…退院までに終わらなかったら『アレ』よ。」 ヒャァァァァア!?!? 「…じゃ、忙しいみたいだから母さん帰るわ。頑張ってねぇ〜♪」 ま…魔王の拷問だ…。とにかく最悪だぁ…自分でも血の気が引いてくのがわかる。 とりあえずボクは、「どうせなら先週持ってこい」なんて即座に殺されるような考えを捨て、残り1週間で終わらせるためにページを開いた。 …へ?『アレ』ってなにか? 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |