《MUMEI》
しずくが食べていた物
“──光、お前の料理は本当に美味だな”





しずくは、

何回もお代わりしてくれた。





“お前の料理なら──毎日食べたい位だ”

「?」

“私は妖だから人間程空腹にはならんから──毎日食事を摂る必要はないのだが──やはり食事を抜くと身にこたえてな”

「そうなんだ──」

“うむ”

「ね、しずくはどんな物食べてたの?」

“どんな物‥と言われてもな──‥紙とか‥”

「紙?」

“障子紙だ。まだ家々に押し入れがあった頃──私は度々そこから抜け出して障子紙を拝借していた”

「お腹──痛くならなかった‥?」

“紙と言えど元は木だ。それに糊は米から出来ていたからな”

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