《MUMEI》

事の経緯を、見張り役から聞いた、楓
 
楓「清次…わきまえなさい 」
 
半端野郎、清次って言うのか…
 
茜「…血が出てるわ!」
 
後から来た、茜が俺に走り寄ってきた
 
俺は、茜を無視して
 
雅治「楓、…客人に、これ が持て成しか!」
 
楓を、呼び捨てにすると
周りが殺気づいた
 
楓「失礼しました…」
 
楓が頭を下げた
 
周りがどよめいた
 
楓「手当てを…」
 
楓の言葉を、無視して
 
雅治「茜、用件は済んだの か?」
 
茜「はい……」
 
雅治「なら、帰るぞ、」
 「ここは、むなくそ悪い !」
 
スーツの上着を脱ぎ
破れたシャツを脱ぎ、シャツで、頬を拭いた
 
ん……腕も切れてた…
 
いつの間に……
 
茜「傷の手当てを…」
 
雅治「茜! 聞こえなかっ たのか!」
 
俺はシャツを畳に投げ捨て、茜に強く言った
 
茜「お願いです、手当てを …」
 
茜に根負けして
 
雅治「…わかった…案内し ろ…」
 
茜に手を引かれ、別の部屋に…… 
 
 
 
別宅に、主治医が居るのか……
 
すぐさま、医者が来た
 
医者「縫うほどでは、あり ませんが、ご無理、なさ らぬよう……」
 
俺は、痛みに鈍感になってるのか…
 
段々、俺も、狂って来たのかな…
 
 
茜が、どうしても、楓と話してほしいと言う
 
多少、怒りもおさまり
楓と、話す事にした
 
茜に案内され
襖を開けると
 
楓が、土下座して待っていた
 
楓「数々の、ご無礼、…」 
雅治「めんどくさい、挨拶 はいい、話を、聞こう」 
楓が頭を上げた
 
なんだ、この、態度の変わり様は…
 
 
清次が連れられてきた
 
楓「清次、詫びを入れなさ い!」
 
清次「何で、俺が、こんな 奴に!」
 
まだ沸騰してるようだ
 
清次「鼻折られてるんだぜ !俺は!、てめぇ、新潟 から生きて帰さねーから なぁ!」
 
楓「清次!」
 
雅治「元気だね…」
 
取り押さえられてる清次に近づき
 
雅治「俺は、お前が素手だ から、素手で付き合った 」
 
腕時計を外し、清次の腕にはめた
 
雅治「庭の木に、括っとけ 、木っ端微塵にしてやる 」
 
ピッ…
 
茜「……」
 
楓「……」
 
雅治「早くしろ、…屋敷ごと、吹き飛ぶぞ…」
 
清次「あ、あんた…沖縄の …」
 
見苦しい程の醜態だった
 
死にたくない、助けてくれ 
喚き散らしてた
 
雅治「じゃかーしぃ!」
 
 「人を、殺すと言う奴は 、自分も、死ぬ覚悟がい るんだよ、」
 「自分より、弱い奴ばか りに、力を誇示するクズ は、死ね!」
 
一人の初老の男が俺の足に縋った
 
「雅治様、お慈悲を」
「代わりに私が死にます」「お慈悲を!」
「雅治様ー!!」
 
泣きながら慈悲を乞う、
…先程の執事だ…
 
雅治「……」
 
誰も、口を挟まなかった
 
俺は、時計を止めた
 
清次から、腕時計を外し
自分の腕へ
 
雅治「後8秒だったな…」 
周りがどよめく
 
雅治「この老人に感謝する 事だ、…小僧…」
 「命拾いしたな…」
 
執事「ありがとうございま す、ありがとうございま す」
 
雅治「もういい、…」
 「それより、何か、着替 えをくれないか」
 
執事「はい、かしこまりま した」
 
この執事…ほんとに、泣いていた…
 

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