《MUMEI》 兄、帰る「まーくん……今更、謝ったって許してあげないんだからね。」 莉子は案の定ふて腐れている。 「もう一回、あの映画観てきたんだ。 そしたらさ、最後見終わったとき莉子が隣に居ないことが寂しくて……莉子もそんな気持ちだった?」 莉子が俯いたまま俺の胸を叩いた。 「……決まってるじゃん!」 莉子は少し元気すぎるが、素直で俺の気持ちに全力で応えてくれて……そこが可愛いと思う。 「莉子、これお詫び。」 首にネックレスを掛けた。飾りの少なめなもので、莉子の鎖骨の上で星形の硝子が控えめに光る。 「まーくん、どうしたの?いつもは私からねだらないと買ってくれないほどケチなのに。」 「彼女にプレゼント買うのは普通だよな? 黙って喜べ。」 それでも互いの顔は緩んでいた。 前へ |次へ |
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