《MUMEI》

暗くなるまで、

碧依は走るんを止めへんかった。





「───────」

「ほいっ」

「ぇ」

「ちゃんと水分摂らな」

「ぁ──はい、ありがとうございます」

「──にしてもよう頑張るなぁ」

「私──走るの苦手ですから」

「そか?」

「小学生の頃から──徒競走とかいつもビリで──‥」

「───────」

「運動会とか、毎年憂鬱で仕方なかったりして──」





碧依は、

グラウンドを見回して溜め息をつく。





「でも、やっぱりこのままはやだな‥って」

「──そか──」





ほんで必死なんやな──‥。

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