《MUMEI》 初飛行機北海道までは、バスで空港まで行き、それから飛行機に乗る。 (本当に、これが飛ぶんだ) 機内に入っても俺はまだ違和感があった。 俺は、飛行機を間近で見るのも乗るのも初めてだった。 「珍しく落ち着き無いわね」 飛行機に慣れている志貴は、俺に窓側の席を譲り、隣でクスクス笑っていた。 「祐也可愛いなー」 「さすが姫」 茶化すように、後ろにいる守と真司が話しかけてきたが、俺は聞いていなかった。 意外な事に、守は着物関係で関西方面に行く際、何度か飛行機を利用しているらしく、余裕だった。 一方、真司は俺と同じで初めてだったが、いつも通り誰よりも冷静だった。 更に後方 瀬川は北海道に何度も行っており 渡辺は、家族旅行で沖縄と韓国に行った事があるから やはり、余裕で談笑していた。 残る一人 志貴の隣になれなかった拓磨は、志貴の前の席で、珍しく静かだった。 「…拓磨?」 志貴が立ち上がって様子を確認すると そこには ベルトを装置し、震えている拓磨がいた、らしい。 …拓磨も飛行機は初めてだったようだ。 前へ |次へ |
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