《MUMEI》
宿屋へ・・
「明日もここに来ない?友達とかと一緒に。」
「へ?」
「だからね、友達と一緒にここで訓練しないかって事。剣術とかなら私が教えられるし。」
どうかな?と尋ねてくる。
「えっと・・どうだろ、相談してみます。でも今日は遅いから・・・明日でいいですか?」
しばらく考えた後そう答える。
「でも迷惑なんじゃ?」
自分の様な素人に教えるのは大変なんじゃないだろうか・・そう思って質問する。
彩詩はそれに気がついたのか、笑顔を浮かべると、
「良い気分転換になるし。まぁ少し忙しいことは忙しいけど・・私としては来てほしいな。」
そう答える。
「とりあえず、友録しとこうよ。結界無視の直通の方教えるから私が敷地内にいても問題ないしね。」
〔彩詩様が友人登録を要請しました。受け入れますか?〔YES〕〔NO〕〕
YESを選び、登録をしておく。
「解りました。その・・よろしくお願いします。」
つい頭を下げる。
「こちらこそ。」
そう言うと慣れた様子で一礼を返してくる。同じ仕草なのに、何故か品がある。
「そういえば狩月。レベルいくつになった?」
思い出したように尋ねる。
「え?レベル・・あれ、8になってる。モンスターと戦ってないのに・・」
自分のステータスを確認して驚く。
「式夜と戦闘訓練してたし・・それに瞬動の訓練もしてたからね。少しは上がるよ。知らなかった?」
彩詩の言葉に
「知りませんでした。」
と苦笑をする。
やっぱりと言うように笑う彩詩。しばらくSPやBPの振り方を説明していた彩詩が気を取り直すように声をかける。
「とりあえず玉華の前まで送るね。」
すっと手を伸ばし詠唱を始める。
「風よ・・軽やかなる風よ、我が身に集まりて、翼とならん。」
足元に術式陣が展開、彩詩を中心に風が渦巻く。
「フライウィング。」
詠唱が終わる。風が彩詩の背で固定される。微かに緑色に渦巻く風が一対の翼のように広がっている。
「ちゃんと捕まっててね。落ちたら怪我するし・・」
そう言うと狩月の手を握る。
バサリ
と空を打つ音が聞こえた。そう思った頃には、体が空に浮いていた。

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