《MUMEI》
黒いワンピース
「あ〜、シスターじゃないや」


女性を見て、守はがっかりした様子だった。


それを見て、他のメンバーは呆れた様子だったが


「美緒、さん?」


俺は、一人、皆より前に出て、声をかけてみた。


語尾が疑問形になったのは


その服装が


表情が


俺の知る美緒さんとあまりにもかけ離れていたからだった。


「祐也君、久しぶり…」


パステルカラーが似合うおしゃれな美緒さんは


真っ黒いワンピースで


いつもより遥かに低いテンションと、声で


真っ赤な目をしていた。


「…お久しぶり、です」


俺は、それだけ言って、頭を下げた。


「先生に許可をもらったから、今から行きましょう?」

「え?」

「行ってきなさい」


戸惑う俺を、何故か担任が促した。


(嬉しいけど…)


素直に喜べない自分がいた。


そんな俺を、不思議そうに見つめる同級生が多い中


不意に目が合った志貴が、ものすごく心配しているのがわかった。


わかったけれど


「葉月も、キヨさんも、キヨさんと親しかったほとんどの仲間が来てるから」


美緒さんに急かされ、俺は美緒さんの車に乗った。

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