《MUMEI》 堕ちる『ケイン止めて!』 遠ざかる修道院を見 詰めながらジェルマ が懇願する。 『チッ…少し大人しく してろ…』 『うっ…んっ…』 ジェルマの唇を塞ぎ ながら〜首筋を軽く 叩いた。 ジェルマの意識は途 切れた。 二人を乗せた馬は何 処へか走り去った。 『う…ん』 ジェルマはベッドの 上で目を覚ました。 見上げた天井は見覚 えのない物…辺りを 見回した。 …此処は? 『よお!起きたか? 』 ギクッ! 右側から声が聞こえ た。 『ケイン…』 ギシッ… ベッドが軋む。 咄嗟に逃げようと して腕を掴まれる… 『ジェルマ…逃げる な…お前に逃げ場は ないんだ…』 耳元に低く囁く。 まるで呪文のように ケインの言葉が僕を 縛る。 何故…僕はこの人に 抗えないのだろう… そんな事を考えてい る内に…僕は唇を奪 われていた… 前へ |次へ |
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