《MUMEI》
男の説明
「…」


葉月さんは、美緒さんを見つめていた。


やがて


美緒さんの怒鳴り声を聞いた、さっき会った女性が美緒さんを連れていった。


そして、俺は


何故か、美緒さんを連れて行った女性の夫と今向かい合っている。


「いろいろ、びっくりしただろう?」


俺は何も言えず、頷いた。


「何か、飲むかい?」


台所に来ていた俺達だが、俺は首を横に振った。


「…だろうね」


男性は無理矢理笑おうとしていたが


笑えていなかった。


(この人も、辛いんだな)


「俺はまだいい方だ。辛いのは、多分一番今辛いのは… 葉月だ」


そして、男性は説明してくれた。


春日さんの体調は


本当に突然


一日で急に悪くなり、医者や看護婦が自宅に駆けつける程の騒ぎで


ブログを更新する暇も無い位だったらしい。


「それでそのまま…」

「それが、少し違うんだ」

「…え?」


(何が?)


「キヨさんは、亡くなる直前意識が戻り、顔色も良くなったんだ。

だから、医者も看護婦も、一旦帰る事になった。

…連れてきた、葉月の車で、葉月の運転で」

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