《MUMEI》 ごめん「しずく‥‥‥どこ‥?」 出て行っちゃった訳じゃない‥ よね‥? 「‥ぁ」 上の方で何か‥。 廊下に出て、 隠し扉に向かう。 そこから続く階段を登って、 天井裏の戸の前に着いた。 「しず‥」 言いかけて、 やめた。 『──その名で私を呼ぶなっ』 あの時のしずくの目には、 涙がにじんでいた。 しずくがあんなに怒るなんて、 思わなかった。 「‥ごめん‥」 ごめん‥ しずく‥。 だから出て来てよ‥。 「しずく‥‥‥」 前へ |次へ |
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