《MUMEI》

「あれ……、先輩。」


「神部……!」

神部も七生を迎えに来たのか?


「私、待ち切れなくて迎えに来ちゃった。」

瞳子さんの独断でやってきたらしい。


「じゃあ俺達は申し訳ありませんが、瞳子さんの車に厄介になります。」

乙矢がいるとサクサク決まる。
しかも、いきなり七生に合わせないようにしてくれる配慮もある。


「……いや、俺の車には」


「七生が乗るといい。」

遮りに近い乙矢の仕切り。


「……は、はい。」

神部さえ押される、乙矢独裁国家だ。


乙矢と俺は瞳子さんの車に、七生は神部の車に乗った。
瞳子さんの車はリムジン型で俺と乙矢は瞳子さんと向かい合うようにして座っていた。
雑談というより瞳子さんの七生の話や質問を受け応えるようなものである。
神部が毎日これに我慢していたら凄い辛抱強いと思う。
乙矢はそろそろ飽きてきて俺に丸投げして外の風景を眺め始めた。


「……瞳子さんって大学生なんですよね?」

気まぐれに乙矢が話し掛けた。


「はい、近くの女子大に。」

この辺りで女子大なんて、一つしかない。超が付く名門大学だ。

頭も家もレベルが高くないと入れない。


「……瞳子さん頭いいんですね……」


「いえ、私なんて全然親戚の中じゃ出来が悪くて、大学だってやっと入れたようなものなんです。」

恐縮しているが、嫌味にしか聞こえなくなってきた。

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