《MUMEI》

雁之助はどんなに揺すられてもびくともしない。

「こんなもの、いらねぇよ」雁之助の勢いに押されて眼鏡を遠くへ放つ。

雁之助はタダシの足首から手を離して眼鏡へと走った


「………私の、だよね」
愛子が眼鏡を拾いあげた。



何故、愛子が雁之助の居場所を知っているのかは野暮というものだ。

敷いていうならば愛の力だろうか。

「雁之助、帰ろうか」

「はい!」
二人は自然に手を繋いだ。

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