《MUMEI》

◇◇◇





『君の居場所は──そこじゃないんだよ、きっと』





何故‥

彼はあのような事を言ったのだろう‥。





何故あんなにも‥

私に構うのだろう‥。





何故あんなにも‥

私の名を呼ぶのだろう‥。





‥何故私は‥

泣いておるのだろう‥。





“光‥‥‥”





もう一度‥

私の名を呼んでくれるか‥?





お前が付けてくれた‥

私の名を‥。





“光‥‥‥”





‥もう一度呼んでくれ。





そうすれば‥

ここから出てそっちへ行ける。





だから頼む‥

呼んでくれ‥。





「──しずく」

“‥‥ひ‥かる‥?”





どうやって戸を開けた‥?





どうやって‥。





「おいで、しずく──」

“────っ──”





この手‥

──暖かい。





“‥‥‥すまん‥光‥”





‥私は馬鹿者だ。





彼はずっと‥

私を待ってくれていたというのに──‥。





◇◇◇

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