《MUMEI》 「はあ?素直?」 弾かれたようになつきはルナを見た。 六車なづき、つまり「私」という人格を知る人物は誰しも複雑だとか捻くれ者だとかあまり良い表現をしない。 「美しいものを見極められる目を持っている 美しいと言える口を持っている」 ルナは指を目に充てた。 「褒めてる?」 こんなこと言われたの初めてだ。 「讃えているね。」 至近距離でルナの睫毛まで見えた。 「 アンタ、ヘン! 」 思わず言ってしまう。 「光栄だ」 ルナは嬉しそうに反応した。 やっぱヘンだ。 なづきは自分の定位置に戻る。 近くにいるとロクなことが起こらない。 前へ |次へ |
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