《MUMEI》 虹しずくが、 空を見つめる。 “──あれは‥‥‥” 開けた窓から、 風が流れ込む。 “──虹──‥” 「綺麗だね」 “ぁぁ──綺麗だ” 「──ねぇ、しずく」 “ん‥?” 「願い事──言ってもいい‥?」 “──ぁ‥ぁぁ” 「あのね──」 “‥‥‥‥‥‥‥” 「一緒にいて?」 “──何‥?” 「僕と一緒にいて。──僕の側にいて」 “‥それで‥‥‥良いのか‥?” 「ぇ」 “‥何でも叶えてやると言った。だが叶えられるのは一つだけだ。‥‥‥それで‥本当に‥” 「僕の願いはそれだけだよ」 “──光‥” 「叶えて──くれるよね?」 “──当たり前だ。私に叶えられぬ事などない” ニッコリ笑って、 しずくは答えた。 前へ |次へ |
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