《MUMEI》
復活した葉月さん
復活した葉月さんの行動は早かった。


素早く喪服に着替え、火葬場に行く車中でヒゲをそり、髪を整え


立派な喪主として、その場を仕切った。


春日さんが


人が、灰と骨になった時


誰よりも、動揺した俺を気遣う余裕もあった。


そして、俺と葉月さんは今


「すごい…」


春日さんも生前お気に入りだった、夜景スポットに来ていた。


ちなみに、ここは修学旅行コースになっていたが、時間が遅かったので、志貴達には会わなかった。


「いろいろ、ごめん。祐也君だって、悲しかったのに。
俺だけ、あんな…」

「いいです、俺こそいろいろすみません」


(お姫様抱っことか)


言わなかった部分も葉月さんには伝わったらしく、苦笑された。


そして、俺は今日しかここにはいられないから、学校の皆が泊まっているホテルまで送ってもらった。


「祐也君」

「何ですか?」

「遠いけど、いつでもキヨさんの墓参りに来ていいからね。

ていうか、会いに来てやってほしい」


帰り際、葉月さんが言ってくれた言葉があまりにも嬉しくて


俺は、胸がいっぱいで笑いながら頷く事しかできなかった。

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