《MUMEI》

「俺には一番しかない、二番も三番も一億番もない、……


一番は秀幸だけ…


秀幸……俺は秀幸を離さない……秀幸から離れない…」



ゆっくりと合わさる唇。



熱く濡れた体がぴたりと密着する。










「ハァ、はぁ、ン……」



「裕斗ぉっ、もう出ちまう…ッ」




ろくすっぽ拭かない体のまま、ベッドの上で体を繋げあう。





俺の上で腰を振る裕斗の濡れた髪から、顎から水滴が俺にポタリポタリと落ちてくる。




「ハアッ……くっ……」



あっという間に果ててしまった俺。





俺の荒い呼吸に向かい裕斗はかがんで唇を合わせてきた。





まだ繋がったままの深いくちづけ。




お互いにわざと唾液を出しあい飲み込みあう。


絡めあう舌の動きに合わせて水の音がたつ。




裕斗はわざと結合部に力を入れ締めつけながら上下に腰を動かしてきた。



「…はあ…俺の中で…勃たせてあげる」



「はー…、熱い…、お前ン中めちゃめちゃ熱くて…」




ある程度硬さが戻ってくると裕斗は俺から離れた。



すると股間がひやりとして何かを失った感じになる。



「秀幸、正常位で抱いて?顔見ながら激しくされたい…」








裕斗の肌を隅々まで撫でまわしながら俺は夢中で突きまくった。


女みてーな声をあげて泣いてよがる裕斗に何度もキスをした。









「送ってくれてありがとう」



「じゃー頑張れよ」



俺は裕斗をマンションの前で下ろし、後ろ髪を引かれる思いで車を発車させた。




セックスを終えた後慌ててシャワーを浴びて裕斗のマンションに送ってきた。





裕斗はこれから雑誌の取材。





俺もドラマの撮影がある。






車の時計はすでに遅刻を告げている。






「は〜…、俺の前の撮りてこずっててくれ〜…」





三回もセックスしなきゃ遅刻しなかったんだろうが、盛り上がって止まらなくなった裕斗にそれはなかなか言い出せなかった。







でもそんな気遣いはきっとありだろう。







だって愛しあっているからこその嬉しい気遣いだと、俺は思う。






それともう一つ。








裕斗を抱きながら考えたんだが…








やっぱり俺は裕斗に抱かれるのは無理だ!






だって、あの肌を見ただけで激しく欲情するから。







抱きたくて抱きたくて堪らなくなるから。






欲情を押さえて抱かれる方に回るのは多分無理。







それに、俺に抱かれてイッた後の、裕斗が俺に甘えてしがみつく仕草は何とも言えず愛おしい。

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