《MUMEI》 萩原に馬乗りなっていた猪俣の右足に、機械的なバイブレーションが伝わった。 それは馬乗りになっている萩原の死体の懐にあった携帯電話だった。 猪俣はそれを奪い取り、折りたたみ式のパネルを開いた。 着信者名…「松の字」 猪俣は受話ボタンを押して、それを耳にあてると… *『おぅ、俺だ… どうだ?…猪俣は仕留めたのか?…』 ヘラヘラとした口調の男が勝手に喋っていた。 猪俣が黙って聞いていると、次の瞬間"松の字"なる男は信じられない事を口走った。 前へ |次へ |
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