《MUMEI》
ひとくち。
「いらっしゃいませ、七生さん。」

瞳子さんが笑顔でお出迎えした。


「お邪魔す……ます。」

勢い込み過ぎたのか後半はグダグダだ。
七生を写真では何度も何度も見たはずなのに、目線が合うと心音が止まない……。他校のブレザーが余計に初めて会う感覚を与えるせいか。


「お邪魔してます。」

後ろから神部が出てきて入口で詰まっている七生を促す。





……何故、七生は俺の隣を選んだんだ。
乙矢は俺がテーブルマナーを真似出来るようにさりげなく向かいに腰掛けてくれた。
テーブルの1番端に座り、瞳子さんは指定されているのか、乙矢と一つ席を空けて座る。
椅子は四脚も余っているのに、わざわざ瞳子さんの隣を二つも空けていたのに七生は1番瞳子さんから遠い席に着いた……、それもお手伝いさんが引いてくれた椅子を無視して独断でである。


「よく来てくれたね!こんなにイケメンばかり、瞳子も隅に置けないなあ!」

がっちりした体格の顎髭の似合う五十代くらいの男性がやってきた。
1番奥の見渡せる席に座ったということはこの人が瞳子さんのお父さんだろう……。

イケメンというのは俺以外の人間に向けられた言葉に違いない、乙矢一人で印象は変わるだろうから。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫