《MUMEI》
1.激戦
1.激戦

安野 丈 は笑っていた!
自分の力に酔いしれて甲高く笑っていた。
その笑い方は悪魔のよう、いや悪魔そのもののような恐ろしい笑いだった!
そんな安野 丈 の背後から物凄い土煙が舞い上がり猛スピードで近付いて来るモノが有った。
安野 丈 は、それに全く気が付いていない。
その土煙は、まるで暴走機関車のようだ。
そのまま安野 丈 に向かって真っすぐに突っ込んで来る!
安野 丈 が気が付いた時には激しい音と共に体は宙に舞っていた…
そして激しく地面に叩き付けられた。
安野 丈が薄い意識の中で片目を開けた時 巨大な岩を持った闘(トウ)が近付いて来ていた。
安野 丈 に激突した暴走機関車の正体は闘(トウ)だったのだ!
闘(トウ)が巨大な岩を持って安野 丈 に猛スピードで体当たりをしたのだった!
その衝撃は計り知れないものだった。普通の人間ならバラバラになって遥か彼方に散っていただろう。
そして今度は、さっきの倍はある巨大な岩を倒れている安野 丈 へ叩き付けようとしていた。が、安野 丈 は辛うじて意識が有った。無意識に左手を闘(トウ)に向けた。
すると闘(トウ)は物凄い重力で地面の中に沈みだした!
闘(トウ)は必死に藻掻いているが地面の中に入っていく…
それでも闘(トウ)は渾身の力を振り絞り持っていた巨大な岩を安野 丈 に向かって投げつけた!
巨大な岩が安野 丈 を潰したかのように見えた。が…巨大な岩は砂へと変わってしまった!
安野 丈 は重力と水を操る力と何でも砂に変えてしまう能力が開花していたのだ!
砂の中から安野 丈 が、ゆっくりと立ち上がってきた。
しかし闘(トウ)は地面に埋もれながらも地面を叩きだした!
すると地面が揺れ始めた!
揺れは段々と大きな揺れとなり安野 丈 は立っていられないぐらいの大地震となり地面が割れだした!
そして闘(トウ)は安野 丈 の体をバラバラにしようと凄まじい念力を浴びせはじめた!
安野 丈 は苦痛に顔が歪み体が千切れるそうになっていた。が、安野 丈 も開花した重力で反撃しだした。
闘(トウ)は、その重力に押し潰されて行く!
闘(トウ)の念力と安野丈の重力の凄まじい激闘だ!
念力によって安野 丈 の体の色んな所から血が吹き出した。
闘(トウ)も重力で血を吐き出した。
どちらかの力が尽きた方が負けだ。
どちらも長時間は持たない。時間の問題だ。
闘(トウ)は念力を使いながら地面を叩いた。
闘(トウ)は勝負に出た。
地面が揺れ出し大地震が起きた。が…安野 丈 は浮遊して闘(トウ)の水分を吸い上げ出した!
闘(トウ)は見るみるうちにゲッソリとし始めた。
しかし闘(トウ)は念動力で割れた地面から無数の岩を飛ばして安野 丈 に浴びせた!
安野 丈 は無数の岩を避けきれず、いくつかの岩に激突されて上空へと高く舞い上がった!
安野 丈 の意識は無かった…
闘(トウ)が勝利したかのように思えた…
が無意識の中で左手を翳しながら安野 丈 が闘(トウ)の上へ墜ちて来た。
どちらも力が尽きていたが…安野 丈 が上空へと舞い上がった事が明暗を分けた。
闘(トウ)は避ける事も逃げる事も出来ずに墜ちてきた安野丈の左手に触れられた瞬間…闘(トウ)は砂へと変わった。

闘(トウ)「ウワァー!」

闘(トウ)の悲鳴だけが辺りに木魂した…


陣(ジン)「兵(ビョウ)と闘(トウ)の生命反応が消えました…」

臨(リン)「ま、まさか!?あの兵(ビョウ)と闘(トウ)が、やられるなんて…」

女神「だから言ったでしょ! 丈 を甘く見てるからよ!これが臨(リン)と闘(トウ)なら 丈 を倒せたのに。ウフフッ。」

臨(リン)「どう言う意味だ!」

女神「 丈 の最大の弱点は…臨(リン)、アナタの真空の能力と闘(トウ)の念力よ!臨(リン)、アナタもここで死ぬから人選を誤ったわね!ウフフッ。」



つづく

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