《MUMEI》
危機的状況〜dragon〜
そのころ山奥では………

「きょうこ、きょうこ…」

気絶した京子を、ウェディングドレスに着替えさせたハルオ。

「おれ、きょうこと、けっこん。もう、おれだけのもの」

京子を愛するが故に暴走してしまったハルオ。もう後戻りができない状況であった。

彼は、もう行き着くところまで行くしかなかったのだ。

こんなことはしたくない、こんなはずではなかった

しかし理性が働かず、京子をさらってしまった。こんな山奥まで連れてきてしまった。

「きょ…こ…お…れは…」

ハルオの目から涙がこぼれた。こんな野獣の姿の自分を、京子が愛してくる筈がない。そう、分かっている。

分かっているのだ。

もうすぐ、京子の彼氏の一文字が来るだろう。

そして京子は救出され、自分はボコボコに打ちのめされるだろう。

下手すれば命さえ失うかもしれない。一文字は容赦をしない。幼なじみの自分には一文字がどういう奴かよく分かっている。

ハルオはブルブルと震えだした。

(続く)

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