《MUMEI》
何故金持ちなのか?
「我が家へようこそ!」
中川は昨日とは別人のようなハイテンションで雄太を向かえた。
「お前の部屋、用意しといたぜ?」
そういうと、雄太を見覚えのある部屋に案内した。
「あの、ここって中川さんの寝室じゃ…」
「そうだけど?嫌か?」
「じゃなくて…中川さんは何処で寝るんですか?」
「ここ」
「え!?」

(まさか添い寝?それこそ嫌だ!!)

「アハハッ!ジョーダンだよ!んな嫌がるこたぁねぇだろ?」「だって…」

(何だまたジョーダンか…)

雄太はホッとした。
住み込みだからとはいえ、プライベートの時間は欲しい。
「だったら何処で寝るんですか?」
「あぁ…」
『こっちへ来い』と手招きされて、雄太がついていった部屋の扉には『アトリエ』と書いていた。
「此処が俺の仕事場だ。まぁ今日から‘兼寝室’だけどな。」
中に入ると、昨日のリビングの様に散らかっていた。
ただ見慣れない道具なんかもあって…

「中川さんって何のお仕事されてるんですか?」

思い切って聞いてみた。
雄太はずっと気になっていたのだ。こんな身なりの良いとは言えない、しかも自分と余り年の変わらない男が、どうしてここまで金持ちなのか…?

(今日だってジャージだし)
「俺な、実はマンガ家なんだよね。」
「マンガ家?」
「そ。ちょ〜売れっ子マンガ家。もう印税ガッボガポ!」
(だからか!)

エッヘンと胸を張る中川を見て、納得した。

(だからお金一杯もってるんだ…)

「どんなマンガ書いてるんですか?」
あまりマンガば読まない雄太たが、ちょっと興味が湧いたし、ついでだから聞いてみた。

「よくぞ聞いた!今日のお前の仕事はこれだ!!」
中川は待ってましたといった感じで、何やらドサッと雄太に手渡した。
「のわぁぁ!」
その量の多さと、重さに雄太はフラつく。
「お前、力ねぇなぁ!」
「だってコレッ…おっと!何冊あるんですかっ!?」
雄太は落としそうになる何必死に堪える。
「20冊位かな〜?」
「20冊〜!?」
「いいか、それを今日の17時までに読み切れよ!」
「えぇ!?」
「じゃあ800万返せ。」
手を挿し出す中川に雄太は直ぐさま折れた。
「読みますよ!」
「よし。じゃあ読めたらリビング来いな。」
「はい…」
雄太はフラフラと自分の部屋に戻っていった。

(後4時間しかないし…)

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