《MUMEI》

──部活でグラウンド使うらしいて話聞いて‥今日は学校の側の歩道を走る事になった。





碧依は、慣れて来たんか──かなりペースが上がっとる。





「転ばんように気ぃつけてな‥?」

「大丈夫ですよ♪」





──楽しそうや。





「──気付いたんですけどね?」

「ん?」

「私──眞野っちと並んで走ると疲れないんです」

「疲れへん‥?」

「たぶん──眞野っちと一緒ならどこまででも走れるんじゃないかな、って──。私、そう思うんです」





「───────」





『お前‥その髪‥‥‥』





あれから暫く経って、

ちょっと伸びた髪。





それが、

碧依が踏み出す度にフワフワ揺れる。





「眞野っち‥?」

「──ほな、世界の果てまで行けてまうな」

「──ふふっ、そうですね」





走りながら、碧依が笑うた。

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