《MUMEI》
割り切って…
「さてと、雄太君!」
「はい?」
後片付けをする雄太の後ろ姿に向かって中川は話し始めた。
「俺の仕事、大体理解した?」
「まぁ…」

(ホモマンガ書いてるって事だろ?)

「この次のお前仕事、何だっけ?」
「モデルですか?」
「そうそう。じゃ、何のモデルでしょ〜か!?」
中川は愉しそうに聞く。
しかし雄太は硬直した。

(俺、何でこんな時だけ勘が働くんだよ…)

「嘘、ですよね?またジョークですよね?ね?」
雄太の体から段々血の気が引いていく。
「何でもするんだろ?」
中川の口がニヤつく。
「それはっ!家事全般………あぁ!!」
「やっと気付いたか。」

(そういや‘など’ってあったっけ?それが…コレ?モデルって事?)

「確か二言はないんだったよなぁ!?」
「そう…ですが。」
「嫌ならいいんだぜ?800万返してくれんならな!」中川は脅す様に言う。

(ハメられた!でももう遅いよな…。)

金の事を持ち出されては、雄太もそれ以上何も言えない。

「分かりました。やります。」

腹をくくるしかなかった。金の為だ、仕事の事だと割り切ろう…
何回も自分に言い聞かせていた。

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