《MUMEI》
目覚めた場所
修学旅行二日目の朝。


ホテルの部屋についているアラームの音で、俺は目を覚ました。


(しかし、本当に良かったのかな…)


本来なら、俺は同じグループの真司と同じ部屋だった。


しかし、俺が今いるのは、葉月さんが急遽とってくれた部屋だった。


『いろいろ、迷惑かけたし』


俺は断ったが、葉月さんは強引に手続きを済ませた。


(とりあえず、風呂入るか)


ふかふかのダブルベッドを降りて向かった先は、本来ならベランダがある窓際だった。


実際そこにあったのは


部屋に付いている、露天風呂だった。


しかも、そこからは海も見え、波の音も聞こえていた。


「ここまでしなくても良かったのに…」


呟きながらも、俺は露天風呂を堪能した。


更に、俺は皆と同じ朝食バイキングではなく


部屋で、葉月さんが手配したルームサービスを食べた。


チェックアウトを済ませた俺に、葉月さんと美緒さんのファンだという男性が挨拶してきた。


よく見ると、ホテルのロビーには二人の撮った写真が貼られていた。


男性は、このホテルの支配人だった。

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