《MUMEI》
モデル
アトリエと呼ばれる部屋に雄太はまた案内された。
割り切ろうと思っていても、やはり体は不安で硬くなってしまう。
「んな緊張すんなって!別に難しい事頼みゃしねえからよ。」
中川は強張る雄太の肩をポンと叩いた。
「はい…」
雄太は力無く返事する。
「んじゃ、取り敢えず服ぬいで。」
(やっはそうだよな…)
雄太は怖ず怖ずと服を脱ぎ始めた。
「コレでいいですか…?」
「バカかお前。」
「え?」
急に冷たい顔になる中川にかなり怯える。
「全裸になれっつってんの!ったく何のためにマンガ読ましたと思ってんだよ?」「全裸って、そんな…」
「早くしろ。」
中川は泣き出しそうな雄太に更に冷たい態度をとる。
「はい…」
これ以上ゴネたらマズイと思い、中川の指示にしたがった。
「四つん這いになって。」「こう…ですか?」
「ケツもっと上げて。」
「………はい」
「そのまま動くな。」
何の感情もなさそうな言い方に雄太は胸が詰まるのを感じる。
中川は突き刺す様な真剣な目で雄太を見ている。
正確には雄太のポーズをデッサンしている。
しかし、雄太にとってそんな事はどうでもよく、ただ自分のこんな姿を、他人に見られているという羞恥的な事実でしかなかった。
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ
携帯小説の
(C)無銘文庫