《MUMEI》 騎士からの呼び出し静寂・・ページを進めるときに聞こえる紙の擦れる音以外はほとんど音がしていない。 年代物であろう机に向かい、ハンディングが一つの書物に眼を通していた。淡々とページを進めていた手がふと、止まる。 「・・・テレパスか。」 手元ウィンドウを展開させ、文面を読む。 「テレパス ハンド〜起きてる?起きてるなら大至急、私の部屋まで。寝てても私の部屋まで!by彩詩」 しばらく文面を見ていたが、諦めたように、小さく息を吐く。 「我をなんだと思っているのだ・・まったく。」 書物を閉じ、漆黒のローブを纏う。 周囲には魔術書、術式書、医学書などが、整然と並び、様々な言語によって書かれた背表紙をさらしている。冊数は・・もはや数えていない。ただ大量の書物が整然と並んでいた。 自宅を出ると魔法陣を展開、騎士団の詰め所の結界ぎりぎりへとテレポーテーション。 門を無音でくぐりぬけ、彩詩の部屋へと向かう。 本来なら、門で通行許可を貰わなければ入ることを許されないのだが、ハンディングは完全に無視。 (やれやれ・・こんな簡単に侵入できて良いのか?) 侵入している当人であるのに、思わず考えてしまう。 もっとも、背後には人の気配が2つ 「あ、来た来た。」 敷地内に入るとすでに彩詩が出迎えに来ていた。 「・・・用件は?」 気楽に声をかけてくる彩詩にあきれながら質問する。 「とりあえず部屋行こう。コーサエル、ブロウド、彼女は私のお客さんだよ。だから問題なし。」 ハンディングの背後にあった2つの気配が立ち去っていく。 彩詩に連れられて、彩詩の部屋の中へと入る。 「相変わらずのようだな・・」 部屋の惨状を一言で表すハンディング。あはは〜と力なく笑う彩詩。 「こっちの部屋は物置なの!話は奥でするから問題ないの!」 とりあえず力説してみる彩詩。ハンディングは小さくため息をついただけ。 奥の居間へと入るとソファーに腰を下ろすハンディング。 彩詩は、キッチンへと移動する。 「で、用件は?」 呼び出した用件を尋ねる。 前へ |次へ |
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