《MUMEI》
究極の二択
「OK!もういいぞ。」
やっと許しが出たのは、それから3時間後だった。
「は、恥ずかしかった…」安堵からか、雄太はつい口から本音を吐き出した。
「恥ずかしいってお前、俺ぁ別にデッサンしてただけで触ってねぇだろ。」
「そうですけど…」
「それに、もう馴れただろ!?」
中川の言う通りだった。この3時間の間、雄太は様々なポーズをとらされていたのだ。
「まぁ…少しは…」
図星を言われて雄太は俯いた。
「明日もするからな!」
「え〜!!」
「え〜じゃねぇ!お前の仕事だろ?」
「う〜…はい…」
ガックリ肩を落とす雄太を無視する様に、中川は机の引き出しから紙袋を取り出した。
「あと、コレ入る様にしとけよ。」
「何ですか?」
手渡されたその中身を確認する。
―ガサガサ…―
「いぃっ!!?」
取り出したモノを見て雄太は引いた。
「こ…コレって…」
「バイブだな。」
「ちょ…勘弁してくださいよ!さすがにムリです!」
「ムリじゃないだろ?一番細いサイズだぜ?」
「そういう意味じゃ…」
「ふぁ…俺はもう寝るから出てってくれ!さぁ!」
呑気に欠伸をする中川に雄太は更に食い下がった。
(このまま無視されてたまるかよ!)
「お願いします!ムリです!勘弁して…」
もう涙目になっている。
「じゃあ800万、すぐ用意しろ。」
「そんな…ムリ…」
「あ〜もう!どちらもムリじゃ話になんねぇだろ!どっちかに決めろ!」
「決めろったって…」
「10、9、8、7…」
痺れを切らした中川はカウントし始めた。
「6、5、4、3、2…」
「や、やりますっ!」
「どっちを?」
「バイブ…」
「よし!決定な!!」
「はい…」
迷う余地すらなかった。
800万なんて大金、今すぐ払えるならば、雄太は今頃こんな所にはいないのだから…
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ
携帯小説の
(C)無銘文庫