《MUMEI》

八ヶ岳の何処だ…
幼い頃、父に連れられて行った…
 
 
 
雅治「八ヶ岳、…そこで、柱時計を見た…」
 
楓「長野ですか…」
 
茜「…長野…」
 
榊原家…長野出身の、細工氏…
 
何か、繋がるのかもしれない…
 
 
昼過ぎ、清次が榊原を連れて来た
 
歳は40代だろうか…
丸渕メガネで髪を後ろで束ねてる、
その髪も赤やピンクのグラデーションに…
 
ウイックじゃ、なさそうだが…
 
真っ赤なパンツにサンダル 
紫のシャツに派手なネックレスを、素肌に…
 
腕には時計が3つ…
 
確かに、変り者だな…
 
 
榊原「これはこれは、楓さ ん、相変わらずお美しい 、」
 「して、何用かなぁ…」 
清次「謹め!榊原!」
 
榊原「謹む…そんな必要は ないよなぁ……」
 
一瞬、殺気にも似た、鋭い目付きになる、榊原
 
一転して、穏やかな顔で
 
榊原「わざわざ、用済みの 俺をさらって来て…何用 だというのかなぁ」
 
眼鏡の奥の細い目は、
笑ってはいないように見えた
 
楓「柱時計の事で」
 
榊原「あぁ、あの時計ね」 「あれはダメだ、動かん よ…」
 「時を止める為の時計な のさ」
 
陽気に答え、茶菓子をつまみ食う、榊原
 
雅治「時を止める為とは、 どういう事だ?」
 「時計は、時を知る為に あるのだろう?」
 
榊原「腹が空いたなぁ」
 
あくびをしながら、足を投げ出した榊原
 
清次「お前…命が惜しくな いようだな…」
 
楓「清次!、やめなさい! 」
 
榊原の胸ぐらを掴んだ清次!
 
榊原「随分派手に殴られた 顔しやがって、」
 「清次、お前、弱いんだ ろ!」
 
清次「…の野郎!!」
 
雅治「黙れ!!」
 
つんざくような声で怒鳴った
 
雅治「オレが聞いてるんだ ……」
 「揉め事は、後で勝手に やれ…」
 
 「楓、何か食わしてやれ …」
 
楓「はい…」
 
雅治「食わしたら、柱時計 の前に連れて来い」
 
俺は、席を立った
 
榊原「あんた、話がわかる ねぇ、いい奴だなぁ」
 「じゃあ、寿司とウナギ と天ぷらね」
 
雅治「…」
 
俺は呆れて、部屋を出た
 
 
 
蔵に行き、柱時計を眺める…
 
間違いない…あの時計と瓜二つだ…
 
 
茜が来た
 
雅治「大飯食らいか?奴は 」
 
茜「どうなんでしょう…」 「…嫌がらせかしら…」 「水無月が、出入りを経 ってから、色々とあった ようだから…」
 
雅治「何か、やらかしたの か?」
 
茜「女中に手を出したのよ ……」
 「女中は、死んだわ…」 
雅治「……」
 
厄介な奴みたいだな…
 
時を止める時計とは?…
 
茜「腕は確かよ…代々続く 、細工しだから」
 
雅治「代々?」
 
茜「江戸時代には、殿様に 献上したらしいわよ」
 
雅治「…どうしたら、あぁ なるんだ?」
 「どっかのイカレタ絵描 きみたいに…」
 
茜が苦笑いした
 
茜「昔から、あぁなのよ」

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