《MUMEI》

「ぶはっ、マズイ煙草だ。」樹は煙でむせた。


「……化け物」
アラタは細い声を出す。


「お前に言われる筋合いはねーよ」
樹は頭を掻き回す。
アラタは不自然さを感じた。様子がおかしい。




「アンタらが復讐したいのは俺だろう。


ウチの子ちょっかい出すの止めてもらえます?」
樹の言うことに思考が付いて来ていない。


  ウチの子?


「お前の本質はこうなのか」アラタはやっと一つ発言できた。  

高柳樹はまるで人が変わったようになっていた。
仕草や声のイントネーション、なにより全体に纏った雰囲気が違う。
格段に凄みが増していた。


「違うも何も俺は俺だし。

これ以上無益な会話繰り返すくらいなら、さっさとボコらせろよ。

  化野 アヅサ様が
痛みでもって叩き込んでやる。」
樹は冷笑した。




……あだしの あづさ?

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫