《MUMEI》
正しい取り扱い方?
朝9時。雄太が朝食の準備をしていると、中川が部屋から出てきた。
「おはよ。」
「おはようございます…ってどうしたんですか!?」声をかけられて振り向くと、そこにはビシッとスーツでキメた見慣れない中川が立っていた。
「スーツなんか着て…」
「あのなぁ、俺だってスーツくらい着るっつ〜の!」
「すみません。でも、どっか行くんですか?」
テーブルに出来た朝食を並べながら雄太は聞いた。
「編集社。あ!悪ぃ、俺急ぐからメシいらね。」
「え〜折角作ったのに。」「ほんとゴメン!」
「いいですけど…」
手を合わせて‘ゴメンナサイ’する中川につい心が緩んだ。
「夕方には帰ってくるから、晩飯は頼むな!」
「はい。」
「それと、アレ練習しとけよ。」
「入んないです…」
「は?」
雄太は夕べの事を話した。全くもって無理だった事、痔になりそうなくらい痛かった事を。
「バカッ!お前ローション使えよ。一緒に入ってたろ?」
「あれ…?」
雄太はバイブにばかり気を取られて気付いてなかったのだ。
「ソレ使ったらスルッと入るから。」
「成る程。」
(って関心してる場合か!俺。)
雄太は一人心のなかでツッコミを入れる。
「気持ちイイらしいぜ?」
「は?」
「バイブ。」
中川はニヤニヤしながら雄太を見る。
「なっ!?」
「クククッ…頑張れよ!じゃ、行ってきま〜す。」
「あ!おい、待てっ!」
雄太は恥ずかしさと怒りで殴りたかったが、中川はそそくさと出て行ってしまった。
「誰のせいでこんな…あのヤロ〜、帰ってきたら絶対殴ってやる!」
雄太は気合いを入れて朝食に取り掛かった。
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