《MUMEI》

榊原「俺が、犯した事にな ってる女中は、神無月の 者だ…」
 
 「俺は、水無月が、謀反 を起こさぬよう、見張っ てた……怪しまれないよ う、変り者を演じて…」 
 「まぁ、やってみたら、 変り者も、案外、性に合 ってな、苦じゃなかった けどねぇ」
 
 「女中を犯したのは、久 保田の手下だよ…」
 
楓「…」
 
榊原「神無月の間者だと、 ばれてたのさ…」
 「……」
 「俺が連絡場所に行った ときは…」
 「……」
 「すでに、女中は、犯さ れ、殺されてた…」
 
 「俺は、元々、神無月の 者…間者と合って居た所 で、久保田には、何もで きやしないさ…」
 
 「久保田は、清次を使い 、邪魔な俺を追放した… 」
 
 「レイプ魔として…」
 
榊原が清次の猿轡を外した 
榊原「俺が女中を、襲った のを見たと言ったな … 見たのか?、お前は…」 
清次「……」 
 
楓「答えなさい、清次…」 
清次「状況で…判断したま でだ…」
 
楓「なぜ、勝手な事を!」 
清次「……」
 
榊原「まぁ、久保田に言い 包められたんだろうよ… …」
 「俺は、何人もの女中  を犯したとして、追放さ れた…」
 「いや、追放する為の策 略だったのだろう…」
 
 「神無月は、俺が追放さ れた時点で、水無月を見 限った…」
 
 「神無月の監視がなくな れば都合、都合がいいだ ろ…」
 「楓…あんたは、身内に 騙されてたんだよ…」
 
楓「確かに…あの時は、神 無月を疑ってましたから …」 
 
榊原「で、今度は、取り入 ろうってのか?」
 「女狐だね…」
 
楓「……」
 
唇を噛みしめ、拳を震わす楓…
 
榊原「まぁ、父も、旦那も 、久保田も、敵じゃ、騙 されてもしかたないがな …」
 
楓「私の、失態です…」
 「…それでも、この家を 守るのが、私の役目…」 「狐でも…悪魔にでも… 」 
榊原「…成る程ねぇ…」
 
茜「今、やるべき事を、す るだけです…」
 「結果は、どうあれ…」 「ケジメですから…」
 
榊原「覚悟の上の言葉だろ うなぁ!」
 
茜「勿論です…」
 
榊原「……時間は?」
 
榊原が俺に聞く…
 
雅治「…3時だ……多分な …」
 
榊原「3時だな」
 
俺はうなづいた…
 
柱時計を3時に合わせ、動かした
 
ボーン、ボーン、ボーン
 
鳴り響いた後
 
急激に、針が周り出し…
 
文字盤が、回り出した
 
文字盤が外れ、柱時計が勝手に分解されて行く…
 
雅治「どうなってんだ?! 」
 
榊原「こう言う、仕掛けさ …」
 
雅治「……」
 
時計がバラバラになった後…
床に、金属の切り崩が…
 
まるで、旋盤で、何かを切り抜いたような…
 
チャリーン!……
 
丸い、小さな円盤に、穴が幾つも空いていた…
 
榊原「鍵だな…」
 
雅治「鍵!」
 
榊原「そうだ、今、削った んだよ…時計が…」
 
凄い、仕掛けだ…
 
分解して、調べても、解読に何年も、かかりそうな、仕掛だ…
 
榊原「3時であってりゃ、 この鍵で、正解だ…」
 「間違いは、許されない ……だから、久保田は、 手を出さなかった…」
 「この、柱時計に…」
 
雅治「…凄い技術だな…」 
榊原「アナログ時代の逸作 だろう」
 「この、工具で、同じ  事をすればいい…」
 「もう1つの、柱時計に も…」
 

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