《MUMEI》
初体験
「あ、ほんとだ。入ってる…。」
部屋に戻った雄太は、もう一度紙袋の中を確認した。「でも、どっちに塗りゃいいんだよ?」
どっちでもいいやと、取り敢えず両方塗ってみる。
「ヒャッ!!冷て…」

初めてのローション体験。
いや、それよりも…

「よ…よし、入れるぞ?」
ローションでテカテカに光るバイブに話し掛ける。

「せ〜のっ!」
そう気合いを入れた割にはゆっくりな行動。
「ん…あ、いけそ…かも」ローションでグズグズになったその場所は、中川の言っていた通り滑りがよくなっていた。
「フッ…ウンン…何、コレ…全然痛くねっ…けど…ハッハァァ」

初めて味わう快感の様なモノに雄太の心は困惑した。
しかし身体は正直だ。
「やべぇ…コレ、イイッ…かもっクゥ…」

ゆっくり動かしてみると、グチュグチュやらしい音が聞こえた。

「アフッ…アッンッン!」

手の動きに合わせて、思わず腰も無意識に動きだす。
「ク…イイ!マジ気持ちい…ッア!イクッ!!アァ、アァ〜!!!」

未体験の快感に、雄太は超特急なみの早さで達した。
「ハァハァ…マジで入っちまったよ。」
雄太は暫く呆然と、始めよりも妖しく光るバイブを眺めていると、急に玄関が開く音がした。

「ただいま〜」
予定より早く中川が帰ってきたのだ。

(げっ!!嘘!?タイミング悪過ぎ…)

雄太は慌ててズボンを履き直す。

「お、お帰りなさいっ!随分早かったんですね…」
何事もなかった様に振る舞う雄太だが、拭き忘れてたお尻がヌルヌルして気持ち悪い事に気付く。
「おう。意外に早く終わってな。それよりどうだった?」
「何が…ですか?」
気付かれまいと必死にしらをきる。
「ローションだよ。試してみたか?」
「いえ…」
「んだよ…急いでくれよ?じゃないと俺の仕事進まねんだからよ。」
ガッカリする中川を見て、雄太は嘘を付いた事を申し訳なく思ったが、恥ずかしくて言えなかった。

(あんなオモチャでヨガってたなんて絶対バレたくない)

「すいません…。あの、ちょっとトイレ借りますね…」
いい加減、お尻が限界だ。
トイレに向かう雄太の後ろ姿に、中川の視線が突き刺した。

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫