《MUMEI》

ライトアップされた木々。石でできた浴槽。
聖ちゃんは石にしがみつきながら俯せで湯舟に浸かっている。
何故か尻をぷかぷか浮かせながら時々足をバシャバシャさせてバタ足の練習。

貸し切り風呂だから誰に迷惑をかける訳でもないが、実際に小学生みたいな行動に若干退いてしまいそうになる。

だって、さっきからお湯シブキが俺の顔を直撃…。

「露天風呂何年ぶりだろー、陸ちゃんに最後に連れてってもらったの小学生だった気がするー」

バシャン、バチャン、


「そ。そうなんだ…」

バチャンバチャン


「あ〜海老美味しかったね〜?」

バシャバシャバシャ


「…うん」

食いたんない…
食いたかった…

俺が悪いんだけど悔しい、情けない…
自分の馬鹿さを殴りたい!!


−−−ああ…伊勢海老にステーキ…


せめて焼きプリンは同じの出たけど、やっぱり伊勢海老の気分だったから


ああ……

バチャン!バチャン!

「は〜、食べすぎて苦しー…、ねー貢も苦しい?」
と言うと聖ちゃんは俺の方を向いた。


「あれ?いつの間に潜ってたんだよ」

「……」

違う…
オマエのバタ足でびちゃびちゃに濡れたんだ……。


「ハハッ!貢って意外と子供なんだなー」

「………聖ちゃん」

「ン〜?」

バシャバシャバシャバシャ

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