《MUMEI》

しん と、静かになる。




私しかいない。


子供達は?
はて、
最初からいただろうか。
疑問等は一切排除されてゆく、時が過ぎる早さのほうが遥かに早い。


一人と言ったが



正確には二人、
私と風船を配るピエロの二人。


ピエロの指先には赤い風船の繋がる糸が決まって絡み付いていて、

「ください。」

私はどうしてもその風船が欲しくなる。
空に映える赤が美しいからだ。


ピエロの表情は化粧の上からも読み取れる笑顔である。
赤く塗られた唇から白い歯を見せられて、ぞろぞろと背筋を這う気味悪さを感じずにはいられない。


「クイズに答えたら風船をあげよう。」

私が風船をねだると、そのピエロは笑顔そのままにこう言うのだ。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫