《MUMEI》 しん と、静かになる。 私しかいない。 子供達は? はて、 最初からいただろうか。 疑問等は一切排除されてゆく、時が過ぎる早さのほうが遥かに早い。 一人と言ったが 正確には二人、 私と風船を配るピエロの二人。 ピエロの指先には赤い風船の繋がる糸が決まって絡み付いていて、 「ください。」 私はどうしてもその風船が欲しくなる。 空に映える赤が美しいからだ。 ピエロの表情は化粧の上からも読み取れる笑顔である。 赤く塗られた唇から白い歯を見せられて、ぞろぞろと背筋を這う気味悪さを感じずにはいられない。 「クイズに答えたら風船をあげよう。」 私が風船をねだると、そのピエロは笑顔そのままにこう言うのだ。 前へ |次へ |
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