《MUMEI》

──太陽。





──夏風。





──足音。





「───────」





ちゃんと‥最後まで走れるかな。





「──おーい!」

「?」





眞野っち‥?





手を振ってる──。





「転ばんようになー?」

「は‥はい‥!」





心配したって始まらない。





とにかく私は、走り切るって決めたんだ。





「未玖、先行っていいよ」

「ぇ‥大丈夫なの? 独りで──」

「大丈夫♪」





未玖は、私より断然速く走れるのに──わざとスピードを落としてくれてた。





嬉しかったけど──未玖にも楽しんで走ってもらいたいから。





だから──先に行って。





──私は大丈夫だから。

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