《MUMEI》

執事と手下2人を従えて
山を降りだした
 
激痛が走る…
 
こんなとき…あの薬が有れば…使ってしまったかもしれない…
 
そう思えた
 
獣道を歩き、夕方には、
何とか、道と呼べるような場所に出たが…
 
人里までは、まだまだらしい…
 
足さえまともなら…
 
執事「少し休みましょう」 「何か、食べ物を探して 来させます」
 
手下に命じる、執事
 
 
夜中になっても、手下は戻っては来なかった…
 
執事「所詮は、ヤクザまが いの、チンピラ衆…」
 落ち目になると、こんな 物なのですね…」
 
 「先代に、なんと詫びれ ば良いのか…」
 
雅治「…誰も、責めるな… …己の力が不足してるん だ…」
 「強いては、みな、俺の 力不足…」
 「お前も、よくやってく れた……」
 
俺は、落ちてる枝を、杖にして、歩き出した
 
執事「雅治様、…」
 
執事が肩を貸してくれた
 
執事「ま、雅治様、凄い、 高熱では、ありませんか !…」
 
雅治「身体が、動くうちは …前へ… 」
 
榊原も、そうだった…
 
佳祐も…、死を知っても、前に進もうとした…
 
生きてる限り、…前へ…
 
俺は、まだ……生きている……
 
 
ライトの光が、こちらに来る…
 
車か?…
 
執事「敵かも、しれません …手下が、寝返ったのか も…」
 
雅治「車か…ありがたい… 敵なら、奪うまで…」
 
執事「……」
 
老いた執事と、ボロボロの俺……奪う処か…
簡単に、やられちまうよ… 
賭けだ…
 
どの道…たいして歩ける体力も…ねぇんだ……
 
ヘッドライトが近づいて来た
 
車のスピードが早い…
 
跳ねとばされるかもな…
 
俺は道の真ん中に、杖をつき、立っていた…
 
 
 
車が停まり、手下の1人が降りて来た
 
「乗って下さい、検問だら けで、苦労しましたが、 ……………」
 
俺の意識は、そこで飛んだ……
 
 
次に意識が戻ると、民家の布団の中だった
 
母親が子供を急がし、学校に行かせる声が聞こえた
 
夢か?……
 
それとも、死んで、俺の魂が徘徊してるのか?
 
 
身体を動かしてみた
 
雅治「生きてんじゃん…俺 …」
 
その時、扉が開いた
 
「あら、目が覚めた?」
 
見知らぬ、女だった…
 
手下「お目覚めですか」
 「安心して下さい、ここ は俺ん家です」
 
雅治「……」
 
 
 
執事「よかった、熱も、少 し、治まったようです」 
女「あたしも、仕事行くか らね、ごゆっくり」
 
明るく、気さくな女性だった
 
女「薬、がめてくるからね 」
 
手下「あぁ、頼んだぞ」
 
 
あの女性は、看護婦をしてるという…
 
足の包帯も、綺麗にまかれてた…
 
 
雅治「直ぐに、出る」
 
手下「外は危険です」
 
雅治「バカ野郎!、女子供 を巻き込むつもりか!」 
手下「ここなら…」
 
雅治「わかってくれ!」
 「…心底、有難い…」  「有難いが……」
 「…巻き込みたくない… 奴らは…女子供とて…」 
 
久保田…奴が死んだとは、思えない…
 
俺が生きてるなら…奴も… 

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