《MUMEI》
誇りの蹂躙
ライムは目を覚ました。
「あっ…」
丸いベッドの上に大の字に拘束されている。両足はこれ以上開けないくらいの大開脚。
惨状愚魔の悪趣味がわかる。
服は脱がされていたが、白の水着だけは取られていない。
惨状愚魔が上から見下ろす。ライムは身構えた。
「やっと二人きりになれたな。ライム」
惨状が優しく微笑みかける。不気味だ。ライムは唇を強く結び、惨状から目を離さなかった。
「ライム。よくも顔を蹴ってくれたな。やめてくれと言ったのに」
惨状はライムの顎を指で掴むと、グイッと上向かせた。
「あっ」
「しかも頭を踏みつけるとはな」
手足を縛られて無抵抗では、どうすることもできない。
「ライム。普通なら許さないが、謝ったら許してあげるぞ」
ライムは迷ったが、この状況で逆らうのは危険だ。
「ごめんなさい」
惨状は顔を輝かせた。
「かっわいい。よし許してやろう」
惨状は手を離すと、今度はおなかをさすった。ライムが身じろぎする。
「触らないでください」
「ライム。また注射打っちゃった」
ライムは背筋に冷たいものを感じた。
「普通の女の子が仰向けで無防備っていうのは、結構スリル満点だろ?」
ライムは横を向いた。惨状の手は下へ移動し、下半身をまさぐる。
「ちょっと」ライムが睨む。
「俺も業師に負けないほどテクニシャンだぞ。困らせてやろうか?」
ライムは慌てた。
「やめなさいよ」
「やめないよ」
惨状は卑怯にもいちばん敏感なところを攻めまくる。
「ちょっと、やめなさいよ」
「ライム。俺と組まないか?」
「あたしと話がしたいなら手を止めなさい」
「ライム。これは会話ではない。拷問だぞ」
そう言うと、惨状は本気を出して悪魔のテクで彼女の弱点を探り当て、そこを集中攻撃だ。
「あっ、ちょっと」
ライムは赤面してもがいた。
「くううう!」
意地で耐えようとしている。しかし生身の肉体では無理だ。物理的に人間業ではないのだ。
「あああ!」
完全に急所を押さえられた。ライムはのけ反った。
「あああん!」
昇天したら体が消滅してしまうのに、惨状はやめる気配がない。ライムは弱気な顔で惨状を見た。
「あたしを殺す気?」
「俺と組むか?」
「考える時間をちょうだい」
「つまりNOだな」
惨状は本気を出して激しく攻めた。
「きゃあ!」
まずい。
「わかった待って!」
しかし惨状はやめてくれない。
「やめて、やめて!」
慌てふためくライムに構うことなく、弱点を攻めまくる。
「さあどうするライム?」
「やめて、お願い」
ようやくやめてくれた。ライムは唇を噛んで横を向く。
「悔しい」
「悔しいか?」
「あたしが屈辱を味わうのを見るのがそんなに楽しい?」
涙を流して悔しがるライムに、惨状は言った。
「甘いぞライム。今のは序曲だ」
焦るライムに惨状が迫る。
「ライム。俺と組むなら拷問は中止だぞ。家来じゃない。パートナーだ。対等の立場だぞ。悪い話ではないと思うが」
「悪魔に魂を売れと?」
「優しくするぞ。ライム。おまえはいい子だ。なぜ今まで殺さなかったかわかるか?」
ライムは横を向くが、顎を掴まれ戻された。
「おまえに惚れたからだ。おまえこそ俺のパートナーに相応しい」
「断ったら?」
「断れないさ」
惨状は、またライムの弱点の周辺に指を這わせる。
やはり悪魔だ。
「総大将は拷問がヘタですねえ」
「何?」
惨状愚魔が顔を上げる。そこには業師の悪鬼4人がいた。
4人を見て、ライムも生きた心地がしない。
「はっはっは。おまえらと違って俺様は慈悲深いからな。あまりひどいことができないのだ」
「ご冗談を」
業師たちもライムを囲んだ。
「つまり、心からの屈服をさせたいんですね?」
「そうだ」
「簡単ですよ」
ライムは硬直した。
「できれば痛い目には遭わせたくない。俺様のパートナーになる女だ」
ライムは成り行きに任せた。

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