《MUMEI》

区内を半分位回って、分岐点に出た。





そろそろ息上がってきとる頃やと思うんやけど──碧依は立ち止まらへん。





それどころか、ペース上がってきとる。





「───────」





‥オレより速いんとちゃうか‥?





こいつ──ほんまは‥。





「眞野っち?」





碧依が振り向いて、少しペースを落とした。





「大丈夫ですか?」

「──ぉ‥ぉぅ」





碧依に言われるやなんてな──。





いつもはオレが言うてたのに──。





「ふふっ、眞野っち何だか嬉しそうですねっ」

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