《MUMEI》
食後も運動
守と違い、適度に食事を済ませた俺と真司は


決められた入浴時間まで、ホテルの庭に来ていた。


ホテルには、俺達以外にも会社の社員旅行に来ている団体がいて


その九割が、男性社員だったから、男子生徒だけが入浴時間を決められていた。


「悪いな、祐也」


今、真司は俺が投げるボールを、ヘディングやキックで俺の方に返していた。


「いや…」


(拓磨や守なら、もっとちゃんと練習が出来るんだろうな)


残念ながら、守は動ける状態ではなく


拓磨は、会いに行けないからと、志貴にしつこく隣からメールを送っている、らしい。


「いいんだよ。あいつら、一日目もあんな感じだったし。
それに、あいつらはここまでサッカーに入れ込んでないからな」


明かりの少ない庭では、真司の表情までは見えなかった。


「拓磨と違って、俺は努力しないといけないし…

俺…」

「どうした?」


真司は俺が投げたボールを手でキャッチした。


「俺は、将来サッカー選手になりたいから」


相変わらず、真司の表情は見えない。


しかし、その声だけで、俺は本気だとわかった。

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