《MUMEI》
真司の夢
「そうか」


それだけ言った俺に真司は近付くと、頭を撫でながら


子供のように、無邪気に笑った。


それから、俺達は部屋に戻り


真司は大浴場へ行き


俺は、部屋にあるユニットバスでシャワーだけ浴びた。


(急がないと)


背中を見られないように、黒いTシャツを着てからホテルの浴衣を来た。


それは、ごく普通のどこにでもある浴衣で


俺にはぴったりだったが


「プッ」


真司には小さかった。


思わず笑った俺に、真司は


「こっちの方がひどいぞ」


そう言って、ピチピチの浴衣を着た拓磨の写メを見せてくれた。


「アハハ!」


俺は、腹筋が痛くなるほど笑った。


そして、その笑いがおさまった頃、真司は少しずつ話してくれた。


サッカーが盛んな私立高校を受験したかったが、お金が無くて諦めた事


それでも、僅かな期待を込めて、昔全国に行った事のある吾妻高校に進学した事

「じゃあ、本当は明皇行けたのか?」

「あぁ…でも、結果として良かったよ。今の吾妻高校はいいチームだし。

うまく行けば、来年は全国狙える」


そこで、スカウトされ、プロになるのが目標だと真司は語った。

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