《MUMEI》
騎士からの頼みごと、魔女の苦笑
「うん」と頷くと気を取り直して話を再開しようとする。
「つまりね、・・」
「要点をまとめると、一週間後にある結界強化儀式のため騎士が忙しい。それで、我のような知り合いを巻き込んだ。そんな所であろう?」
見事に彩詩の話を遮り、どこか得意気なハンディング。
やや不満げに「む〜〜」と唸りながらクッキーを頬張る彩詩。
「その通りなんだけど〜〜・・・」
その姿を見て、笑いを強くするハンディング。
「わかった。教えるのは、式夜と狩月だな?」
確認するように、問いかけ、カップを口元に運び、一口紅茶を飲む。
(彩詩のような大雑把な性格でこれだけの紅茶を淹れられるのは未だに謎だな・・)
おいしいと素直に思いながらも、納得できないと思う。
「ん〜・・実は少し大人数になるかも・・」
言いにくそうに切り出す彩詩。
カップを口に当てたまま、しばらく硬直するハンディング。
「・・・だめ?」
そう言いながらクッキーを一枚差し出してくる彩詩。
「見るだけは・・見よう。そなたの頼みなのだからな。」
クッキーを受け取り、食べながら返事をする。
「じゃあ明日のお昼くらいに・・・・」
必要事項を決めていく彩詩。長くなりそうだと苦笑する。
「ハンド〜ちゃんと聞いてる?」
「聞いているよ。彩詩。」
口調が少し昔の自分に戻る。他者を寄せ付けぬような口調ではなく、親しげな口調に・・
(明日は・・寝不足だろうな、まぁそれも良いか。)
自分の考えに苦笑をさらに強くしながら彩詩の話を聞く。

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