《MUMEI》

「ん?何…ひッ!!!」

呼ばれてレジから目を離した瞬間、貴士は小さな悲鳴を上げた。

老婆と目が合ったのだ。

まるで、骨と皮だけの様な顔の、中央より少し上の二つの窪みから、今にも溢れそうな目玉が、ギョロリと貴士を捕えている。

その姿は異常者そのもの。

蛇に睨まれた蛙の如く、貴士は動けないでいた。

それでも客は客だ。

貴士は平然を装い、たが絞り出す様な声で、再度老婆に聞いた。

「ご注文は…?」

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