《MUMEI》
屈辱の寸止めテク
ライムは5人に囲まれて胸のドキドキが止まらない。
大切な体を邪悪な男たちの目の前に投げ出してしまっているのだ。自分がこれから何をされるのか。考えただけでも悔しいし、情けない。
業師の悪鬼が惨状愚魔に言った。
「総大将。こんな小娘、寸止めテクでいじめれば心は折れますよ」
「誇り高き天使に寸止めテクはいくら何でも残酷じゃないか?」惨状が笑う。
「だからいいのです。ライムの困り果てる姿が見たいでしょう」
「ハハハ。この悪党め」
「総大将には負けます」
ライムはじっとしていた。悪鬼らは淫らな目でライムの体をながめ回した。
惨状愚魔がライムに聞く。
「ライム。寸止めテクって知ってるか?」
「すんどめ?」
「おい、ライムに説明してやれ」
悪鬼の一人がおなかをさすった。
「ライム」
ほかの3人もわざと急所をはずし、腕や脚をマッサージする。
「くっ」
それだけで快感が高まってしまう。ライムは気持ちを確かに持った。
「人間の女のエクスタシーは約15秒だ。もちろん個人差はあるが」
「卑猥な話ならよそでして」
「卑猥な話ではない。女体のメカニズムについての一考察だ」
「変態話に付き合う気はないわ」
強気に出るライム。すると、いきなり水着の上からいちばん敏感なところを指で攻める。
「やめなさいよ」
「話を聞くか?」
「わかった聞くから」
「よーし。では話の続きだライム。エクスタシーの時間が15秒くらいだから、女は狂わずに済む。しかし、あのたまらない快感が5分10分15分と持続したらどうなると思う?」
ライムは無言で横を向いた。
「人間には無理だが我々にはそれができる。この前生意気なくの一を拷問した」
「くの一?」
「江戸時代に飛んで仕事をしてきた。くの一は何されても寝ててみせると豪語したのに、5分で終わったな」
「ひひひひひ。よだれ垂らして、泣きながらやめてくださいと哀願するから許してあげたけどな」
ライムは唇を真一文字に結んだ。そんなことされたら、たまらない。
「さあて。ライムは何分もつかな?」
ライムはすました顔をしているが、胸の鼓動は激しくなるばかりだ。
「ライムは生意気だから、許さないよ」
許さないとはどういう意味か。ライムが業師たちを見ると、嫌らしく顔を覗き込んできた。
「ライムの場合、どんなに泣き叫んで哀願しても、1時間いじめてあげる。クククククク」
「おい、1時間はかわいそうじゃないか」惨状が笑いながら言った。
「ダメです。1時間いじめます。いい気味。にひひひひひ」
「ライム。あのエクスタシー直前の快感が1時間持続するんだよ。どうする?」
ライムはただ真顔で業師を見ていた。
「ライムの理性は何分で飛ぶかな。楽しみ」
「せいぜい5分でしょう。残り55分はあんあん悶え狂う姿を敵に晒すことになる」
「女の子はそうなると、もうどうでも良くなっちゃう」
「たぶん途中で降参して総大将に助けを求めるでしょう」
「なるほど」
惨状はほくそ笑んだ。ライムが助けを求めたら自分の権限で許してあげればいい。そうすれば晴れてライムを手中にできる。
悪意が交錯した。
業師が水着に手をかける。
「さあ、ライム。宴の始まりだよん」
「まずは水着を剥いで、そのかわいらしい裸を総大将にお見せしな」
もはや万事休すか。この邪悪な男たちに弄ばれて、屈辱にまみれるのか。
「ひひひひひ。あああ!」
突然4人は血相変えてライムから離れた。
「あっ!」
ライムも明るい顔でこちらを見ている。惨状愚魔は殺気を感じ、ゆっくり後ろを振り向いた。
強飛がいた。
「男性陣を代表して一言いいか?」
「何だ?」強飛が睨む。
「助けに来るの。早過ぎねえか?」
「ハハハ」
「へへへ」
「ハハハハハハ」
「へへへへへへ」
「死ね!」
メガトンパンチ!
惨状は吹っ飛んで壁に激突。
「死んだ」
一言呟くと、その場に卒倒した。

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