《MUMEI》 相変わらずの席順(…変わりないな) 拓磨の交渉虚しく 相変わらず、志貴の隣は俺だった。 「たまにはここも変えてみるか?」 真司は瀬川と渡辺に提案したが 「私達、彼氏に男の隣はダメだって言われてまーす」 瀬川は、渡辺の手を掴んで自分の手と一緒に上に上げながら、笑った。 「はいはーい、俺も撫子から女の子の隣はダメだって言われてまーす!」 守も瀬川と同じ口調で手を上げた。 「俺は別に言われて無いけど、守の隣と別の班の女子の隣だったら、どっちがいい?」 「どっちも微妙。こいつ彼女自慢ばっかするし」 拓磨は心底嫌そうな顔で守を見た。 「じゃあ、俺が守の隣に行くか」 「その方がいいわよ。今カノの為にも」 真司の言葉に、瀬川が同意した。 「真司、相変わらずよね」 「お前みたいに独占欲強く無いからな」 「真司が無さすぎなのよ。サッカーバカなんだから」 言葉だけを聞くと微妙な元恋人同士の会話だが、二人は笑顔で、口調も軽かった。 こうして、無事に席順が決まり 拓磨はあまり親しくない同級生の女子の隣でふて寝していた。 前へ |次へ |
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