《MUMEI》 誰もいない「ぇ?」 「だから‥何で入るの?」 「だって、ここじゃよく聞こえないでしょ?」 「いや、別にあたしら聴きたい訳じゃないし‥」 「───────」 「分かった‥じゃあちょっとだけ──ね?」 「うん」 途端に笑顔になった木村君。 音楽室の戸を開けて、 中に入ってく。 あたし達も渋々、 中に入った。 「‥やっぱ‥誰もいない‥‥‥ね」 「うん‥」 なのに、 ピアノは鳴ってる。 「何で誰もいないのに‥‥‥」 「何言ってるの?」 「ぇ」 「木村君‥?」 「いるよ、女の子」 「女の子‥?」 「うん。椅子に座ってピアノ弾いてる」 前へ |次へ |
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