《MUMEI》
涙の理由
月明かりの中で
目覚めた。

スゥ…スゥ…
目の前にケインの
無防備な寝顔…


『子供みたいな顔
しちゃってさ…』

ため息をつく僕。


『…つっ…!』
不意に涙が溢れる。


自分でも解らない。
この涙の訳…


『何を泣いてる?』
いつの間にか目を覚
ましたケインが僕を
見ていた。

『何でも…ないよ』


『ジェルマ?』


『怖い夢を見ただけ
…』


ケインの大きな手が
僕の髪をクシャッと
撫でる。

そのまま胸に引き寄
せられて僕はすっぽ
りとケインの腕の中
に捕らわれて…


ポンポン…
子供をあやすみたい
に背中を叩かれて


心地の良い胸の音を
聞きながらいつしか
僕は眠りに就いた。

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