《MUMEI》
どこにもいない
「──木村くーん!」





いくら捜しても、

木村君は見つからない。





「どうする‥?」

「あたしらだけで行くのはまずいっしょ」

「でもさぁ──おかしくない?」

「何が?」

「木村君‥こっちに行ったなら行き止まりだから戻って来るしかないのに」

「違う方に行ったんじゃない?」

「‥‥‥‥‥‥‥」





違うよ。





木村君は確かにこっちに走って行った。





なのに、

いない。





どこにもいない。





『僕‥何か変かな』





木村君って‥

何者‥?

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